室内空気質と換気
室内空気質の問題がクローズアップされています。
室内には多くの揮発性化学物質や、カビの胞子、ダニの糞等がたくさん存在しています。これらは健康障害を起す原因物質であるためすみやかに排出しなければなりません。
そのほかにもホコリや、水蒸気等も存在しています。過度の水蒸気は結露の原因になったり不快感の元になります。
住宅建築に使用される建材や施工材から放散される科学物質のなかでホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、木材保存材、可塑材、防蟻材が優先取組物質として指定されています。これらの物質をすみやかに屋外に排出するために換気装置が大切になってきました。
ここでいう換気装置は浴室やトイレについている換気扇ではなく集中的に換気量をコントロールできる換気装置のことです。
高断熱、高気密住宅では必須の装置も一般の住宅においては、個別に換気扇が付けられセントラル換気装置はつけられていないのが実情です。空気の入れ替えは窓を開ければ常に換気できるものではありません。換気は3つの要素でしか換気できません。
1つ目が風力です。風があれば窓を開ければ換気できます。
2つ目が温度差を利用するものです。
冬は暖かい空気は2階にあがり冷たい空気は隙間からは自然にいってきます。気密性能がないと暖冷房した空気がどんどん逃げています。
3つ目は機械によるものです。個別換気では、風の強い時は北側のトイレなどは換気扇がついていても換気できないで匂いが逆流することもあります。
風のない時間帯や温度差のない季節は換気しようと思って窓を開けても換気できないのです。近年の住宅は気密性能がある程度あるため昔の家のように自然の換気が期待出来なくなっています。換気不足による健康障害は、高性能住宅(高断熱、高気密で4つの要素がある住宅)ではなく一般の住宅で起っているのが実情です。
換気をキチンとするためには、住宅の気密性能をあげて定量換気することが重要です。
必要換気量は空気汚染の指標である炭酸ガス(CO2)濃度を1000ppmに抑えることを基準に定められています。1人あたり20~30m3/hの新鮮空気が必要です。
人間が一生のうちに体内に摂取する物質で一番多いものは、食物や飲み物などではなく空気です。
空気の重量は1m3あたり約1.2kgです。汚染されてない新鮮な空気を摂取することが肝心です。
建築デザイン / 2010年6月26日